胆管の病気
胆管(胆道)とは
胆管(肝外胆管)は肝臓から十二指腸まで胆汁が通る管のことです.胆管の長さは約10~15cmで太さは0.5~1cmです.胆嚢は,胆汁を一時的に貯めて濃縮する袋状の臓器で,西洋梨状の形をしています.大きさは長さ7~10cm,幅3~10cm位です.食事をすると胆嚢は収縮して貯めていた胆汁を胆管から十二指腸に出し,消化吸収の助けをします.
十二指腸乳頭部は胆管が十二指腸に開口する部分で,膵管と合流しています.乳頭部を取り囲むように括約筋が存在し,胆汁の流れを調節しています
代表的な胆管の疾患
①胆管癌
胆管癌は胆管の上皮(胆管内側の表面をおおう粘膜)から発生する悪性腫瘍です。その発生した胆管の部位により、肝外胆管がんの肝門部領域胆管癌と遠位胆管癌、そして肝内胆管癌に分けられます。肝内胆管癌は胆管細胞癌と呼ばれることもあります。また取扱い規約では、肝内胆管癌(胆管細胞癌)は肝臓にできた癌として、肝細胞癌と一緒に原発性肝癌として取り扱われています。これらの胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌を合わせて胆道癌と呼びます。
②胆管炎
胆管に細菌感染が起こったものを、急性胆管炎といいます。急性胆管炎の多くは、何らかの要因で胆管が閉塞し胆汁の流れが滞り、胆管内部の圧力が高まることで起こります。また、胆汁に細菌が感染することも原因の1つです。胆管が閉塞する原因として、胆管にできた結石、何らかの良性病変により胆管が狭くなる、胆管の手術後吻合部(手術で縫い合わせた部分)が狭くなる、悪性腫瘍により胆管が狭くなる、などがあります。
③胆管結石
胆石は胆汁中のコレステロールやビリルビンが結晶となり形成されます。胆汁は肝臓で産生され、胆嚢(たんのう)で濃縮されて総胆管を通り十二指腸へ流出されます。総胆管に石ができたものを総胆管結石といいますが、胆嚢内の石(胆嚢結石)が総胆管に出てくることもあります。
④胆嚢癌
胆嚢や胆嚢管にできた悪性腫瘍を胆嚢癌といいます。胆嚢癌の高い危険因子として、膵(すい)・胆管合流異常があります。膵・胆管合流異常とは、膵管と胆管が十二指腸の手前で合流する、先天性の形成異常です。膵液と胆汁の逆流が起こることによって、胆道や膵臓にさまざまな病態を引き起こすことが知られています。そのため膵・胆管合流異常では、予防的胆嚢摘出術が検討されます。また、胆嚢ポリープで10mm以上あり、かつ増大傾向を認める場合、あるいは大きさに関わらず広基性病変(粘膜の表面からなだらかに隆起している病変)である場合は胆嚢癌である可能性が高く、胆嚢摘出術が推奨されます。特定の生活習慣や食事と胆嚢癌の関連については、今のところ明らかなものはありません。
胆嚢癌が胆嚢壁内にとどまっている段階では無症状であることが多く、検診の腹部超音波(エコー)検査や胆石症による胆嚢摘出術で、偶然発見されることもあります。
⑤胆嚢炎
胆のうに起こる炎症を総称して胆嚢炎と呼び、大きくは「急性胆嚢炎」と「慢性胆嚢炎」に分けられる。さらに前者は炎症の程度によっていくつか種類があり、胆嚢が軽く炎症を起こしているカタル性胆嚢炎、膿がたまり胆のうが腫れてくる化膿性胆嚢炎、重症化して胆のうの一部が壊死したり、穴が開いたりする壊死性胆嚢炎、そして細菌の影響で胆のうの内外にガスを発する気腫性胆嚢炎がある。後者は、急性胆嚢炎を繰り返すうちに胆嚢壁が厚く硬くなり、萎縮していくことでその機能が低下する。症状は急性に比べて軽いことが多い。胆嚢は肝臓の右下にある臓器で、肝臓で作られた胆汁という消化液を一時的にためておき、水分を吸収して濃縮する役割を持っている。そして食事が刺激となって収縮し、胆汁は主に脂肪の消化を助けるために胆嚢管と呼ばれる管を通って十二指腸へ流れていく。急性胆嚢炎のほとんどは胆石(胆嚢にできる結石)が原因であるといわれており、胆汁の通り道である胆嚢管に胆石が詰まることで起こる。ただ、胆石が詰まっただけで炎症を生じることはあまりなく、その上で細菌に感染したり、膵液が胆嚢に逆流したりすることで引き越こされる。また、胆嚢の奇形や捻転(胆嚢が回転して入り口部分がねじれてしまうこと)、胆嚢の血行障害、周囲にある臓器の炎症、腫瘍による胆嚢管の狭窄、寄生虫、膠原病、アレルギー反応などが原因になることもある。
⑥胆嚢胆石
食事中の脂肪の分解を助けている胆汁という消化液は肝臓でつくられます。この胆汁を肝臓から十二指腸に運ぶ管を胆管といいますが、胆管の途中で枝分かれする形で胆嚢という袋状の臓器があります。胆嚢は一時的に胆汁を貯めておき、油の多い食事を摂った際などには収縮して貯めておいた胆汁を十二指腸に排出するはたらきをしています。胆石症とは、胆嚢に結石ができたものであり、ときに突然の激しい痛み(いわゆる胆石発作)や発熱、黄疸などの症状を起こします。胆嚢は胆汁を貯めている臓器であり、食べ物が消化管に到達すると収縮して胆汁を絞り出します。油の多い食事をしたときにはより強く胆嚢が収縮するため、結果的に胆嚢の出口に結石が詰まってしまって痛みを起こします。また胆嚢結石があることで胆嚢内の胆汁の流れが滞り、細菌感染を起こし胆嚢炎を併発します。
⑦胆嚢ポリープ
胆嚢ポリープとは、胆嚢内に生じる隆起性(盛り上がった)病変のことを指します。無症状のまま経過し、健康診断や別の理由で行われた腹部超音波検査などをきっかけとして発見されることが多いです。ポリープは良性であることが多いですが、悪性である可能性もあるため、慎重に経過を追うことが必要です。悪性度が高い場合には、手術が必要となることもあります。
⑧十二指腸乳頭部癌
乳頭部とは十二指腸の中心付近に位置し、肝臓で作られる胆汁の通り道である胆管と、膵臓で作られる膵液の通り道である膵管が合流し十二指腸に開口する場所です。乳頭部癌はこの膵管と胆管の合流部である乳頭部に発生する悪性腫瘍です。胆汁と膵液の通り道が腫瘍で塞がれる場合が多いため、臨床症状としては胆汁の流れが悪いために起こる黄疸、膵液の流れが悪いために起こる膵炎とそれに伴う腹痛などを起こします。