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過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)は、主として大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気の総称です。

検査を行っても炎症や潰瘍といった器質的疾患が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛などによる下腹部の張りなどの症状が起こります。命にかかわる病気ではありませんが、突然起こる腹痛や下痢、腹部の不快感などにより、生活の質(QOL:Quality of life)を低下させます。過敏性腸症候群は、20~40歳代に多くみられます。先進国に多い病気であり、日本においては10~15%程度の方にみられるというデータもあります。男性と女性では、1:1.6でやや女性に多くみられ、男性は慢性的な下痢を繰り返す下痢型、女性は慢性的な便秘を呈する便秘型が多いとされます。

原因

過敏性腸症候群の明らかな原因はいまだ(2017年現在)不明ですが、大腸や小腸など消化管の運動異常や知覚過敏、精神的なストレス等が関係しているとされ、複数の要因が組み合わさることで発症すると考えられています。また、急性の感染性腸炎にかかったことをきっかけにして、過敏性腸症候群が起こりうるということも知られるようになりました。一方、過敏性腸症候群の症状を悪化させる原因としては、ストレスや生活習慣などが指摘されています。

症状

症状によって、下痢型、便秘型、混合型、分類不能型の4つに分けられます。

下痢型

突然然に起こる腹痛や下痢を特徴とします。外出時に便意や腹痛をきたすことで、通勤や通学、外出に支障をきたしてしまうことがあります。大腸の蠕動運動が過剰となることで、大腸における便の水分吸収が不十分となり、軟便や下痢をきたします。

便秘型

便秘を主な症状とするタイプです。腸が緊張状態となる(痙攣性)ことで大腸の蠕動運動が減少し便秘となります。さらに、便が長時間にわたって大腸に停滞することで過剰な水分吸収が起こり、水分の少ないコロコロとした硬い便となります。

混合型

痢と便秘の症状を、数日ごとに交互に繰り返すタイプをいいます。

分類不能型

上記どれにも分類できないタイプをいいます。

検査・診断

過敏性腸症候群の診断には、自覚症状に基づいて診断する「RomeⅣ基準」(世界的な診断基準)を用います。繰り返す腹痛が最近3か月間のうち概ね少なくとも1週間に1回以上あり、かつ下記3つの症状のうち2つ以上に当てはまる場合に、過敏性腸症候群であると診断します。

  • 腹痛は排便に関係づけられる
  • 排便頻度の変化を伴う
  • 便形状の変化を伴う

ただし、過敏性腸症候群と似たような症状が現れる病気として、細菌性・ウイルス性の腸炎や、潰瘍性大腸炎・クローン病といった病気、また大腸のがんなどがあり、臨床的な検査(血液検査や便の検査、レントゲン検査、胃カメラ・大腸カメラなど)を行い、他の病気がないかどうかを評価することも大切です。

治療

過敏性腸症候群は、生活習慣(食習慣や睡眠などのライフスタイル)の乱れや、精神的なストレスなどで症状が悪くなることが多いため、まずは生活習慣の改善やストレスの軽減を図ります。運動療法も症状改善に有効とされます。また、症状のタイプ(病型)に合わせて薬物治療を行っていきます。

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