メニュー

肝臓の病気(肝炎・肝臓がんなど)

肝臓は右の肋骨(ろっこつ)に守られるようにして存在するヒトの体で最も大きい臓器で、体重の約50分の1を占めています。

肝臓の主な働きは3つあります。1つ目は、私たちの体に必要な蛋白の合成・栄養の貯蔵、2つ目は、有害物質の解毒・分解、それと3つ目が、食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌です。
私たちが食べたものは胃や腸で吸収されやすい形に変えられた後、肝臓へ送られます。肝臓でいろいろな成分に加工されると、動脈を通って必要な場所に配られていきます。例えば、食事などからとった糖質は、グリコーゲンとして肝臓に蓄えられ、夜間にエネルギー源として血中に放出されます。利用されて不要になった老廃物は、今度は静脈を通って肝臓へ戻され胆汁へ排泄されます。その老廃物の一部は再び吸収されて肝臓で再利用されます。このように肝臓は栄養素の生産、リサイクルの中心となっています。

代表的な肝臓の病気

①肝炎

肝炎は肝臓の炎症のことで肝細胞が壊れることにより起こります。肝炎の原因としては、肝炎ウイルス(A型,B型,C型、D型、E型)の感染、アルコールの摂取、肥満など、様々な原因で起こります。肝炎がどれくらいの期間続いているかによって、急性肝炎と慢性肝炎に分けられます。急性肝炎は6ヶ月以内に落ち着くもののことをいい、それ以上の長い期間持続する肝炎を慢性肝炎といいます。慢性肝炎で軽い肝炎が長く続く場合には、あまり症状を認めません。肝臓は障害に耐える力、いわゆる耐用能がとても強いため、少し傷ついただけでは悲鳴をあげません。しかし、軽い慢性肝炎でも長い間10年や20年あるいはそれ以上続いて、肝臓に線維(コラーゲンなど)が蓄積し、肝細胞が再生する力を失うと肝機能が低下します。こうして肝硬変に進行します。肝炎を調べるためには、血液検査でAST(GOT)・ALT(GPT)・γGTP等をチェックします。AST・ALTは肝細胞に多く含まれており、肝炎で肝細胞が壊れる際に血液中に流出し、測定値が上昇します。短期間にたくさんの肝細胞が壊れる急性肝炎では、AST・ALTが数千に上昇することも珍しくありません。重篤な劇症肝炎になると、命にかかわることもあります。γGTPは肝細胞や胆汁の通り道である胆管に多く含まれており、これも肝炎の指標となります。

②肝硬変

肝炎が長く続くと、肝細胞の破壊と再生が繰り返され、肝臓に線維組織がたまってきます。これを肝臓の線維化といい、線維化が進行した状態が肝硬変です。肝硬変になった肝臓は硬く、表面がでこぼこした不整な状態になります。肝細胞が線維組織に置き換わり、肝臓の基本単位である肝細胞の数が少なくなるため、肝機能の低下がみられます。血液検査では、肝臓が作るタンパク質であるアルブミンが低下したり、血小板数の減少が見られたりします。肝硬変ではさまざまな症状が見られ、特に肝臓の働きを十分に保てなくなった非代償性肝硬変でははなはだしいです。食道静脈瘤を初めとするいろいろな合併症を伴いやすくなります

③肝臓癌とは

肝臓癌は肝臓に発生するがんです。何もない健康な肝臓にできることはまれで、多くの場合は慢性肝炎や肝硬変で炎症や線維化のある肝臓に発生します。肝がんができてもそれだけでは症状が出現しないことがほとんどです。そのため、昔は肝がんが進行し末期になり病院を受診してようやく診断されることが少なくありませんでした。現在では、慢性肝炎や肝硬変の患者さんは肝がんのリスクが高いことが分かっていますので、定期的に通院して腹部超音波検査等の画像検査を受けることで、早期に発見されることが多くなっています

④肝膿瘍

肝膿瘍とは、細菌や原虫、真菌が肝臓に進入し、そこで繁殖し、膿が溜まってしまった状態です。肝膿瘍には、主に細菌を原因とするものと、赤痢アメーバを原因とするものがあります。肝膿瘍は、糖尿病の患者さんや、肝臓や胆管などに悪性腫瘍がある方、免疫力が低下した方に起こりやすいとされています。2017年現在、赤痢アメーバによる感染症は、発展途上国において頻度が高いといわれています。先進国においても、発展途上国からの帰国者など一部にみられます。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME